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最初の引越しの思い出

これまで何度か引越しをしましたが、一番思い出深いのはやはり初めての一人暮らしをするために実家を出たときのことです。 わざわざ遠くへ行くことはない、第一一人暮らしなんて危険だ、と言って最後まで私が家を出るのに反対していた父が、不機嫌そうに引越しを手伝ってくれたのを覚えています。 本当は嫌でしたがお金もなかったので、父の運転で荷物を実家から東京まで運びました。 道中無言の父の助手席で「早く東京につかないかな」と思っていました。 「狭いな」と開口一番、六畳一間のアパートの部屋を見回した父が言いました。確かに、田舎の家と比べると狭い部屋でした。 こんな場所で、一人で明日から過ごせるのか不安になりました。 やはり父の言うことを聞いて、地元の大学に進学すれば良かったかなと弱気になりました。 しかし、家を出なければ新しい道は開けません。 荷物をおろしてさっさと家に帰って行く父の車を見送りながら、泣きそうになるのを我慢しました。 父に反発する気持ちがあったからこそあの時頑張れたのだと思います。 今はもう父とも元通り仲良くなり、そんなことがあったことも忘れてしまいました。でも、何年かに一度引越しをする時に段ボールの積み上げられたがらんとした部屋を見ると、最初の引越しのことを思い出します。 子どもを持って、父のあの頃の気持ちが理解できるようにもなりました。 いつか自分の子どもが家を出るときは、私もあんな気持ちになるのかなあと思います。

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